8月8日

 落ち着かない日が続く。文章もろくに書けやしない。社不すぎて論文提出に必要な条件を最終日にチェックする。なんとかした。ギリギリでいつも生きている。

 

 プライベートでは嫌なことが続く。正確には、僕に嫌なことが起きたわけではないのだが。関わりのある人に嫌なことが起きると、自分にそれが起きたかのようにすごく嫌な気持ちになる。共感性能が高いのではなく感受性が高いだけと解釈している。これのせいで思考回路に揺らぎ、偏りが生じるので生活を営む上でもあまり良くないと思うのだが、根元から湧き上がる感覚があり、どうも逃れられそうにない。意識して客観視点を持つしかない(それでもやはり引っ張られるのだけど)。

 

 帰宅して椅子に座っていたら珍しく猫が足の上に乗って寝始めた。久々に経験する。最近はもっぱら舐められるか餌やり人間としての役割しか果たせていなかったので、まだ覚えられていたのかと感動を覚えた。

 

 好きな女性の声について話したいと思う。

 僕が好きな声は多岐にわたる。好きというものは多い方が良いので好きになるように訓練した。その中でも一番好きなのはウィスパーボイスと呼ばれる類のものだ。

「ウィスパーボイス(ささやき声)は、声を非常に静かにし、息を多く使って話す方法です。通常の話し方とは違い、声帯をほとんど振動させずに、息の流れだけで言葉を発します。このため、音は非常に柔らかく、静かなものになります。

例えば、図書館などの静かな場所で他人に気づかれずに話したいときや、誰かを落ち着かせたいときに使われることが多いです。ウィスパーボイスは、人によっては心地よいと感じられることもあるため、リラックス効果があると言われることもあります。(by GPT-4)」

とGPT-4さんは言っているが、僕がイメージをしているのは普通に声を出しているのにも関わらず吐息混じりに聞こえるボイスの方が近い。有声音なのに無声音にも聞こえるものだ。天性の癒しボイスですね。

この癒しボイスでシチュエーションボイスを聴きたいと焦がれている。贅沢は言わない。一晩中、吐息を聴かせてくれないものか。ささやかな願いを聞いてくれないものか。ああ、青春時代、この声を持つ君がいたら、きっと全てが狂っていただろうと確信が持てる。真夏の屋上、君は僕に拒絶の言葉を突きつけるのだ。その美しい声でもって。最初は、真っ当な関係というものは望んでいなかったのだ。拒絶されるのがそれまでの人生の常だったから。一方的に貢いで、時々言葉だけ貰って。青春時代、その思い出があるだけで、あの頃の僕はまっとうに生きていけただろうに。あるいは、図書室にいる君と、小声で何でもない話をして、正しくウィスパーボイスとして囁かれ、天使の雫のような吐息を記憶に刻むのだ。願わくは、どうか誰にも見つからないでくれ、と。正しく嫉妬だ。君の幸せを望んでいるのに、僕の根源はそんなものを望んでなどいなかった。そして、教会にいる君に、懺悔をする。欲が出てくるのだ。今はどうだ。拒絶を求めていたはずが、いつのまにか君と仲良くなっていた。一度拒絶されたはずが、なぜか再び関係を結ぶに至った。君が大変な時に、連絡が来るようになった。来るはずの拒絶が、いつまで経っても訪れず、たくさんの言葉を交わして、心もきっと交わすことができて、僕の胸の内さえも伝えて、ああでも、やっぱり大切な人にはなれなさそうだな。